シェチェルブラ
郷土菓子研究社
先日7月8日、渋谷区神宮前に「Binowa cafe Specializing in 郷土菓子研究社」という興味深いカフェがオープンしました。明治通りから一本路地を入ったビルの2階。雑貨店の中にあるという知る人ぞ知るお店ですが、スイーツファンの間では、既にひそかな話題となっています。というのも、「郷土菓子研究社」の主宰者である林周作さんは、調理師専門学校でフランス・イタリア料理を学んだ後、世界の郷土菓子の魅力に取りつかれ、各国に実際に食べに行き、味を伝える菓子職人になった方。2012年6月より、自転車でユーラシア大陸を横断するというチャレンジをして、ヨーロッパ、中東、アジアなど、各国・各地の郷土菓子と出会い、学び、紹介してきた、他に無い経歴の持ち主なのです。
帰国後、イベントなどでそれらの菓子やデザートの販売をされていましたが、ついに実店舗がオープン!実はその少し前から、ネットショップも起ち上がり、一部の品がお取り寄せできるようになっていました。
店舗に行くと、より多種類の焼き菓子ボックスがありますが、その中でも私が気に入っている一つが、アゼルバイジャンの最も代表的な郷土菓子だという「シェチェルブラ」。トルコ語で「甘いパイ」を意味する「シェケル ブレック」という言葉に由来すると言われるお菓子です。
生地を2つ折りにしてフチを閉じ合わせた餃子のような包みの中に、クルミのフィリング入り。刻んだクルミがホロッと、粗めの砂糖がジャリッとする食感で、噛みしめると香ばしさが広がります。カルダモンの爽やかな甘い香りが異国情緒を感じさせ、甘さもしっかりありますが、クッキーのような生地自体は無糖なので、お茶菓子として、日本人にも違和感のないバランスとなっています。
表面の独特の模様は、シェチェルブラ専用のピンセットを丁寧に押し当てて作られるもの。このように珍しい各国のお菓子を日本にいながらにして味わえるというのは、貴重なですね。
通販スタートにあたって新たに作られたパッケージがこれまた個性的!海外でも活躍されているイラストレーターの方にお菓子を召し上がっていただき、それぞれのイメージで描いていただいたというイラストは、遊び心満載です。「シェチェルブラ」の箱は、カルダモンを擬人化したようなグリーンの女性が、クルミを手に生地に包まれているというちょっと不思議でおしゃれなデザインです。
アゼルバイジャンは南コーカサス地方、カスピ海沿岸にあり、イランと国境を接し、トルコとも文化圏の近い国です。それなら、合わせる飲み物も、トルコ名物でもあるコーヒーにしようか?とか、この地域はバラやざくろが特産なので、ローズティーと合わせては?などと想像を巡らすのも楽しいですね。ネットショップからは、他にも、スペインのアンダルシア地方の伝統菓子「ポルヴォロン」や、日本では珍しいインドの「ベサン ラドゥ」なども購入できます。世界地図を傍らに置いて、遠い異国に思いを馳せながら味わってみてはいかがでしょうか。
更新日:2016年07月20日
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