平岩理緒さんのおすすめ!
スイーツジャーナリスト

フランス菓子界の大御所が生んだ、甘酸っぱくふんわり軽やかな癒しのデザート

ココット容器の中の白いガーゼをそっとほどくと、中には、真っ白なフレッシュチーズがふんわりと包まれています。スプーンを入れると、軽やかな食感ながら、深く濃厚な味わい。さらに中から、色彩の対比も鮮やかな、真っ赤なソースが染みこんだスポンジが現れます。口にすると、フランボワーズのキュンと甘酸っぱい味わいがじゅわっと広がり、やさしい甘さととろけあって、なんとも言えない幸せな気分に!

この「クレーム・アンジュ」は、フランスの北西部・アンジュ地方で作られていたクリームのデザートを、フランスの美食家キュルノンスキーが「神様のごちそうだ!」と絶賛したという逸話からイメージして、「パティシエ・シマ」のオーナー島田進シェフが考案されたもの。もともとは、お皿にのせてソースなどを添えていただくデザートですが、持ち帰って家で楽しめるようにココット仕立てにしたというのが、シェフの粋なアイディアです。

こちらに使われている「フロマージュ・ブラン」は、“白いチーズ”、すなわち熟成させずに出来立てを楽しむタイプの、フランスでおなじみのフレッシュチーズ。一見するとヨーグルトのようですが、より濃厚なコクがあり、口当たりもなめらかです。クリームチーズよりも軽くあっさりしていながら、リコッタチーズなどよりもクリーミー。特に、島田シェフが使っていらっしゃるのは、フランスの中でも酪農が盛んで、高品質の乳製品を生産するノルマンディー地方の「イズニー社」で作られるもの。クリーミーな味わいは、他に類がないほど豊潤です。

このお菓子は、その「フロマージュ・ブラン」をベースに、卵白と砂糖をふんわりと泡立てたメレンゲを混ぜ、口に入れるとしゅわん、ととけるような軽やかな質感に仕上げています。シンプルな素材使いですが、だからこそ、選んだ素材の味や、パティシエの技術が問われるのです。
冷凍で届くので、食べる前に冷蔵庫に移して解凍し、フレッシュなうちにいただくのがお勧め。容器のままでも食べられますが、お皿にあけていただくと、よりエレガントなデザート感がアップします。暑い季節には、まだ少し半解凍のうちに食べ始めて、ゆっくりととけていくうちに、ふんわり食感に変化していくのを味わうのも、ちょっと通な食べ方です。

フランスの家庭のデザートを、こんな素敵なお菓子として日本で広められた島田シェフは、日本におけるフランス菓子専門店の草分け「A.ルコント」で修業後、渡仏して「ダロワイヨ」「ブッダ」「ベッケル」などで経験を積んだ方。帰国後、フランスの一流レストラン「マキシム・ド・パリ」銀座店のシェフパティシエや「A.ルコント」総製菓長として活躍した後、1998年、東京・麹町にフランス菓子店「パティシエ・シマ」をオープンされました。
パリの最先端の華やかなフランス菓子とは一味違った、ほっと心癒されるやさしい味を、ぜひ召し上がれ!

おいしそう! 10

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