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平岩理緒さん(スイーツジャーナリスト)

雪の中で甘みを増した人参が決め手!地元産素材たっぷりのご当地キャロットケーキ

 キャロットケーキ

お店で出会えると、つい買いたくなるお菓子の1つが「キャロットケーキ」。人参をすりおろして入れた生地に、スパイスの香りと、上掛けされたクリームチーズのフロスティングの酸味が効いたバランスが醍醐味です。

知り合いの岩手県のフルーツ農家さんに教えていただいたパティスリー「ブール・ドゥ・ネージュ」のオンラインショップで、偶然見つけたのがこちらのキャロットケーキ。人参を模った可愛らしいデコレーションもインパクトがあり、これはぜひとも食べなくては!と思いました。

本店は1997年に岩手県北上市にオープンしたフランス菓子店で、店名の「ブール・ドゥ・ネージュ」とはフランス語で「雪の玉」の意味。盛岡市内にも支店があります。

このキャロットケーキに使われているのは、豪雪地帯として知られる岩手県西和賀町の「雪下人参」。人参を畑に置いたまま雪が積もるのを待つことで、凍結するのを防ぐために人参自身が自然に糖度を高めるのだそう。生地の中に、甘味やうま味が増した人参の粒々の存在感がしっかりと感じられます。

さらに、ザクザクと混ぜ込まれた刻み胡桃も、岩手県産にこだわっています。国産の胡桃は稀少で、生産量も少なく原価も上がるため、これほど贅沢に入っているとは驚きでした。

スパイスは、シナモンとクローブ、それにナツメグも少々。突出することのない程よい効き具合で、キャロットケーキが初めての方でも召し上がりやすい味です。

側面には細かくしたスライスアーモンドも散りばめられ、素材ごとの様々な食感が楽しめます。

キャロットケーキは、元々はイギリスの伝統菓子で、アメリカ菓子としても人気です。「ブール・ドゥ・ネージュ」さんで出会えたのは少し意外でしたが、フランスと国境を接するスイスの北部にも、伝統的な人参のケーキがあります。

ヨーロッパでも、お菓子に地元の農産物をよく使うというのはよくあることなので、地元の素材を積極的に使われる、こちらのお店らしいお菓子だな、と納得しました。

可愛い!と心惹かれた人参形の飾りは、岩手県産の人参パウダー入りフィナンシェにナパージュを塗ったもの。見た目が面白いだけでなく、アーモンドたっぷりのしっとり生地に、しっかりと人参の風味が活きています。

表面を覆うクリームチーズのフロスティングも、まるで、人参の上に降り積もった雪を表しているかのよう。まろやかで濃厚な甘酸っぱさが、土台の生地を引き立てます。

冷凍で届くので、7~8時間ほど冷蔵庫で解凍していただきますが、冷えた状態よりも、少し常温に戻してから召し上がるのがお勧めです。

切り分けてからラップをかけ、600W程度で20~30秒程、チーズフロスティングがやや柔らかくなるくらい電子レンジで温めても、生地のしっとり感が増し、ほんのりスパイシーで甘い香りもより豊かに立って、幸せな気持ちになれますよ。

平岩理緒さん(スイーツジャーナリスト)

スイーツ情報WEB「幸せのケーキ共和国」主宰。スイーツジャーナリストとして全国銘菓に精通し、TV・雑誌等各メディアで発信。「All About」スイーツガイドも務める。イベント企画や司会、企業や自治体のスイーツ開発など幅広く活動。セミナーや製菓系学校での講師も務める。TVチャンピオン「デパ地下グルメ選手権」優勝。著書に『東京最高のパティスリー』(ぴあ)、『まんぷく東京 レアもの絶品スイーツ』(KADOKAWA)等。『厳選スイーツ手帳』・『厳選ショコラ手帖』(世界文化社)を監修。

[ウェブサイト] 幸せのケーキ共和国
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『まんぷく東京 レアもの絶品スイーツ』&『東京最高のパティスリー』
監修本『厳選スイーツ手帖』(世界文化社)
監修本『厳選ショコラ手帖』(世界文化社)
「おいしいマルシェ」(「人気店の定番スイーツ」vol.65)
令和アカデミー倶楽部「金沢の新年菓子食べ比べ~福梅や花びら餅」講座
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