お取り寄せの達人のオススメ!
松浦達也さん(フードアクティビスト/ライター/編集者)
超一流シェフ垂涎の国産ほろほろ鳥。その深い味わいを知る。

食鳥の女王と言われる、ほろほろ鳥。飲食業界の人でさえ間違って読むことも少なくありませんが、正しい読みは「ほろほろちょう」。これが本日覚えていただきたいことのひとつめです。
もうひとつ覚えていただきたいのは、アフリカ原産のこの鳥を国内で飼育し、加工・販売まで一貫して手がける農場が岩手県の花巻にあるということ。そしてその農場のほろほろ鳥には燻製などの加工品も含め、他にはないおいしさがあるのです。
おっと。「もうひとつ」と言いながら、いくつも挙げてしまいました。すみません。でも、花巻市にある石黒農場のほろほろ鳥はそれくらい特別なのです。
いい個体はいい生育環境でのみ育ちます。本来、ほろほろ鳥はアフリカという亜熱帯の地域に生息する鳥類です。もちろん温暖な気候を好みます。
岩手県の花巻は冬場の最低気温の平均が0度を下回る寒冷な地域。しかし石黒農場のほろほろ鳥は、湧き出る温泉水を鳥舎の下に配水し、ぽかぽかと温かい天然の床暖房の上を走り回ります。
飼料は自家配合。ほろほろ鳥のために自家栽培されたコメのほか、麦やとうもろこしなどバランスを考えられた穀類で育てられています。もちろん花巻の天然水も飲み放題。基本的には抗生剤などの薬も使われません。いい環境だからこそ、穀類と水を中心とした自然の飼料だけですくすくと育つのです。
通常、90日程度と言われる飼育期間も120日と長く飼われているので、身質はやわらかさと心地いい弾力を備え、噛みしめると深い味わいがきめ細かな繊維の間から絞り出されてきます。星付きのレストランのシェフや高級焼鳥店から「あの鳥を!」と指名される銘鳥は、つい味の向こう側へと手を伸ばしたくなる滋味があるのです。
そんな石黒農場には燻製専門の建物があります。厳選されたスパイス&ハーブの香りと必要最小限にとどめられた塩で漬けこまれたほろほろ鳥は、山桜のチップでじっくり加熱されてしっとりした身質の燻製に仕上がります。
今回おすすめする「ヘルシーセット」は胸肉やささみなど、脂に頼らなくてもほろほろ鳥の身質のおいしさを存分に味わえる燻製を中心としたパッケージ。その味わいがぎゅぎゅっと凝縮されたささみジャーキーも入ってます。
朝食のおかずやサラダなど調理用の素材としても万能選手。(僕のように)アルコールがお好きな方は、ワインやビールと合わせてどうぞ。元の味つけが楚々としているので、食べ進めるうちに粒マスタードやスパイス、少量のマヨネーズなどで無限に味変も楽しめます。
松浦達也さん(フードアクティビスト/ライター/編集者)
調理の仕組みや科学、食文化史などを踏まえ、料理誌・一般誌・新聞・書籍・Webまで幅広く執筆・編集を手がける。テレビ等で食トレンドやニュース解説も。著書『大人の肉ドリル』は肉好きのバイブルとしてロングセラーに。他『新しい卵ドリル』(以上マガジンハウス)、『ハイボールとつまみ』(主婦の友社 ※監修)や、共著も審査員をつとめるレストラン年鑑『東京最高のレストラン』(ぴあ)ほか多数。マンガ大賞選考員、日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクターでもある。
[ウェブサイト] 食とグルメ、本当のナイショ話 -生産現場から飲食店まで-(Yahoo! ニュース個人)