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chicoさん(スイーツライター)
清らかな水に素材際立たつ、淡麗ジェラート
初めて口にした時、そのみずみずしさに引き込まれてしまった。ふわりと舌にほどけ、すっと体に馴染む感覚。『yayoi tokyo』のジェラートは生の果実のようにフレッシュ。じんわりと包み込まれるような果実味、でもそれは甘みやコクを重ねることで生まれる強さではなくて。すっきりと淡麗な味わいながら、素材の味わいが凛と際立つ、そんな感じがありました。
パティシエの大塚陽介さんは、イタリア・ミラノで開かれるお菓子の世界大会『FIPGC』で優勝した人。世界で戦った経験から、日本人ならではのジェラートを作りたいと思うようになったと言います。
それは、余分を削ぎ落とすことで素材の本質や味の輪郭をあらわにしていく、和食にも通ずるアプローチ。どのジェラートも卵を使わず砂糖は控えめ、一部のアイテムには牛乳も使いません。
さらに食材の味わいをクリアに表現する決め手は、全てのベースになる屋久島の水。大塚さん曰く、柔らかなトーンのジェラートには軟水が合うそうで、中でも特に滑らかな屋久島の水が一番フィットしたのだとか。
そうした上でひとつひとつの素材に寄り添い、その持ち味を丁寧かつさまざまに引き出していきます。
たとえば苺のジェラートにはフレッシュな苺をふんだんに使うけれど、あえて一部だけは火を入れて混ぜ込むそう。同じ苺でもまた違う味わいを重ねることで、グッと厚みのある印象に。
ピスタチオなら、そもそもピスタチオ自体に油分があるから、生クリームでさらにコクを重ねるのでなく、水とミルクで軽やかに仕立てて。さらにはナッティで香り高いイタリア産、甘味と深いコクが持ち味のスペイン産、ジャスミンを思わせる風味のイラン産と、個性の違う3産地のピスタチオを絶妙なバランスでブレンド。
味わいもナッツ感も香りも、あらゆるピスタチオの魅力をいい具合に融合させるのです。ひんやりとろけるとピスタチオの奥行きがどこまでも深まるよう。
グレープフルーツの表現も見事。金木犀を合わせたことで、そのフローラルな香りと心地よいビター感が、生き生きと相乗していきます。口にひんやりとろけると、優しく華やぐ、幸せな香りに包まれます。
清らかな水と食材に向き合う丁寧な仕事で、その澄んだ味わいを引き出す淡麗ジェラート。日本の洗練された味わいがここにあります。
chicoさん(スイーツライター)
スイーツトレンドに精通し、「anan」や「Hanako」、「ELLE goumet」はじめ多数の雑誌やWeb、TVでスイーツ記事の執筆や特集企画監修・出演を行うほか、ギフトのセレクトショップ、ECサイトなどでスイーツ監修も手がける。「anan」で「Food topics 〜chicoのお菓子な宝物」、「SALUS」で「もらって嬉しい手土産スイーツ」を連載中。『東京の本当においしいスイーツ探し』シリーズ監修。共著に『東京最高のパティスリー』。
[ウェブサイト] Twitter「anan」連載中「chicoのお菓子な宝物」
「SALUS」連載中「もらって嬉しい手土産スイーツ」