文鳥を模したパッケージが可愛らしいとSNSでも話題のひとくち羊羹「金澤文鳥」。特にこの詰め合わせは、3種の文鳥が寄り添ってとまり木に並んでいる様子が愛らしく、箱を開けて目が合うと、思わず微笑んでしまいます。
古都・金沢で1946年から続く和菓子店「清香室町」で、三代目の田中尚行氏と四代目の田中大亮氏が考案した“ネオ和菓子”として注目されています。2023年には「グッドデザイン賞」も受賞しました。
2021年12月、最初に登場したのは、ドライフルーツのいちじく、レーズン、ブルーベリー、クランベリー入りの加賀紅茶味でした。
一見すると小豆の羊羹かと思いきや、実は白いんげん豆を使っていて、茶色は加賀紅茶の色。加賀でのお茶の栽培の歴史自体は、江戸時代、前田家の三代藩主の頃まで遡ります。
加賀の紅茶は2009年に商品化され、渋味が少なく甘い香りが特徴だそう。フルーツティーをイメージしたというとおり、紅茶の芳醇な味わいの中に爽やかな甘酸っぱさが入り混じり、シャンパンや白ワインにも合う新感覚の羊羹です。
黒に白い模様入りの頭と灰色の体は「桜文鳥」の姿。実は、「加賀紅茶の魅力に誘われてやってきた旅の文鳥が、金澤の地を気に入って『金澤文鳥』になった」という隠れたストーリーがあるそうで、思わずほっこりしますね。
2022年には、淡い褐色の「シナモン文鳥」を模した加賀棒茶味が登場。こちらは、白いんげん豆ベースに加賀の老舗「丸八製茶場」の加賀棒茶を合わせ、刻んだアーモンド、ピスタチオがザクザクと入っています。加賀棒茶とナッツの香ばしさの相乗効果が楽しめる羊羹です。
3番目に登場したのが、「白文鳥」を模した白い珈琲味。石川県の奥能登地方で作られている能登大納言小豆を蜜漬けした「かのこ豆」入り。白いのにコーヒー風味という意外性と、かのこ豆のしっとりした食感アクセントが印象的です。
奥能登地方は2024年1月の震災で大きな被害を受け、農家さんも大変な状況だそうですが、このお菓子を通じて被災地の応援にも繋がるといいですね。
それぞれの単品が卵形の箱に詰め合せとなったものや、文鳥達がくちばしを寄せ合って話し合っているような9個入りの「文鳥会議」もあり、好みや用途に応じて選ぶことができます。
元々、北陸新幹線の開業によって金沢駅を訪れるお客様が増え、代表菓子の「銘菓くるみ」とは別に、地元産の素材を使った新たな提案をしたいと考えられたお菓子だったそう。北陸新幹線の延伸で、北陸のお土産としてもますます注目を集めそうです。
四代目の大亮さんも、和菓子業界の未来を担う若手として、都内での和菓子の実演販売の催事に参加するなど、活躍の場を広げています。これからも伝統の味や技法を継承しつつ、石川県らしく、金沢らしいお菓子を生み出してくれることでしょう。
更新日:2024年03月26日
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