お取り寄せの達人のオススメ!
香取薫さん(インド・スパイス料理研究家 有限会社食スタイルスタジオ代表取締役)
アーユルヴェーダのスーパーオイル「ギー」!もうバターは要らない。
「ギー」ご存知ですか? これが今「キテる」んです。なにしろ去年と今年で私は「ギー」の紹介だけで3回テレビ番組に呼ばれました。アメリカでセレブが使っていると言われていますが、世界三大医学のひとつでもあるアーユルヴェーダでは5千年前からギーを食に、そして治療に使ってきました。
では、ギーのどこが良いのでしょうか。中鎖脂肪酸(直接肝臓に運ばれ素早くエネルギーに)、ブチル酸(ビフィズス菌など善玉菌を増やす)、ビタミンA、D、E(肌や目に良い!)が多い、善玉コレステロールを増やし悪玉を減らす……など、是非調べてみて下さい。
料理にはバターの代わりに使えばいいと思えばかんたん! でもバターと違うのは焦げないということ。にんにくバターを作るときなど弱火で加熱していてもすぐ真っ黒になりますが、ギーだと潰したにんにくと一緒に弱火で5分くらい放っておけば見事なガーリックオイルができます。バターのようなコクがあり、しかもコクがあるのに太りにくいのです。トーストに塗るだけでも最高です。
ギーは家庭で作ることもできます。日本では無塩バターを煮てタンパク質や不純物や水分を分離させて作れるので、私はYouTubeにも作り方動画を出していますが、やはり買えたら便利です。
そう、いいんです買うのでも!ただし、そこで大切なのは「品質」ですよね。今や沢山の種類が売られるなかで、何を選べば良いのか。
添加物が入っていたりしてはがっかりだし、香りがついたものや加工でマーガリンと差のないものまでみられます。それなら使わないほうがいい。植物性のギーなどあり得ない話。そして!ギーと言えばインドかというと、スリランカもまたアーユルヴェーダの国。このスリランカ産ギーは、ヌワラエリアという紅茶の産地の高山で作られます。そこがミソです。暑さゆえ、乳製品の食文化は少ないスリランカで、ギー。
そもそも紅茶の木は気温差があり、霧が出るような涼しい土地に植えられます。現地は街から山を登ってゆくと、空気は清涼となり霧がかかり、山頂では暖炉が燃えています。あの土地でなら素晴らしい酪農ができるはず。私はギーに関しては、インド製品よりこの製品が確かだと感じています。そして知ったわけです。このギーを日本に紹介し始めたのは、アーユルヴェーダの医師のかただと。なるほどー。
もう一点素晴らしいのは、このギーの元になる牛乳はグラスフェッド(牧草だけを食べて育った牛からのもの)なのです。これは飼料に肉骨粉などが使われていないということで、とても大事なこと、そして現代の酪農ではなかなか望めないことです。
あと、ギーの食用以外の使い方もご案内しますね。熱をとるという性質があります。だから暑くて夜眠れないときなど、私は足の裏にギーを塗ります。布団に入ってから塗るのでベトベトになどなりません。熱を持った足の裏はあっという間にギーを吸い込んでしまいますよ。さらにインドのアーユルヴェーダの医院では火傷治療などのためにも使われていて、火傷したときに塗るのも賢いファストエイドです。
香取薫さん(インド・スパイス料理研究家 有限会社食スタイルスタジオ代表取締役)
料理教室キッチンスタジオペイズリー主宰。インド料理、スリランカ料理、アーユルヴェーダ料理を広めるために研鑽の日々。多くのカレー店主や料理家、インストラクターを育てる。著書『はじめてのインド家庭料理』講談社『家庭で作れるスリランカのカレーとスパイス料理』、『家庭で作れる南インドのカレーとスパイス料理』河出書房新社、他多数。TV出演「キユーピー3分クッキング」など。
[ウェブサイト] キッチンスタジオペイズリー