お取り寄せの達人のオススメ!
平岩理緒さん(スイーツジャーナリスト)
国産レモンの旨味を全て込めた、シャリッと麗しい糖衣掛けレモンケーキ
私は、柑橘の爽やかな酸味が好きで、「レモンケーキ」にはこだわりがあります。
これまで、各地の様々なレモンケーキを味わってきました。中には、日保ちがごく短くて配送が難しく、仮にしたとしても、フレッシュな焼き菓子の魅力が損なわれてしまうものもあります。
しかし、この「レモンケーキ」は、そんなハードルを超え得るものでした。
作り手の髙山浩二シェフは、長年シェフパティシエを務めた「リムヴェール」のブランド名を引き継ぎ、2019年12月より、焼き菓子を中心とするオンライン販売をスタート。翌春、人気商品だった「レモンケーキ」が待望の登場。ご自身も自信作だという、思い入れの深い品です。
このレモンケーキの主役は、広島の農家さんから届く「瀬戸内レモン」。皮ごとザクザクとスライスし、種とヘタ以外全てを砂糖と共に煮て、マーマレード風のものを作ります。
一般的に、レモンの皮を煮る時には、皮、特に内側の白い部分に苦味があるため、何度か茹でこぼしてから使うことが多いのですが、髙山シェフは、皮と果実の間にある、ともすると“えぐみ”と言われる部分こそ“旨味”だと考えるそう。「農家さんに大切に育てていただいたので、極力捨てる所なく全部煮込みます」と仰います。
その自家製レモンペーストを生地に混ぜ込み、焼き上げたレモンケーキ。上掛けはグラスアローと呼ばれる、レモン果汁と粉糖を混ぜたもの。すりガラスのような半透明の質感で、生地にしっとりなじみ、甘酸っぱさをたっぷりと湛えて、口の中でサラサラと溶けていく。私が最も好きなレモンケーキの仕上げです。
ただ、湿気やすいため、パッケージされたお菓子で、よい状態のものに出会えることはなかなかありません。このレモンケーキは、冷凍で届き、食べる分を解凍していただく仕様なのですが、驚くことに、その過程を経ても、上掛けの遜色がほぼ無いのです。
丸くてコロンと可愛らしいドーム形で、真珠のように奥ゆかしく光り輝く姿を見て、心が震えました。1個が大きすぎず食べきりやすいサイズなのも特徴です。
薄すぎず厚すぎない糖衣掛けの、シャリッとした心地よい歯触り。レモンとの相性抜群の蜂蜜入り生地の中からは、皮の食感がしっかりと主張。噛みしめると、ほどよい加減のほろ苦さと爽やかな香りが、じんわりと広がっていきます。
日本のレモンは冬が収穫期ですが、11月頃の青レモンから始まり、12~1月頃には黄色に。2~3月頃には完熟した真っ黄色の果実と、出荷時期で状態が変わります。
髙山シェフが第一弾として作ったレモンケーキは、春に届いたレモンを使ったため、より穏やかな、熟成されたまろみを持つ爽やかさが感じられました。冬になれば、その時期のレモンならではの味に変わるでしょう。まさに旬の恵みですね。
紅茶と合わせるとまるでレモンティーのような印象に。コーヒーともよく合います。爽やかなレモン味で、初夏や夏にもぜひ味わってほしい焼き菓子です。
平岩理緒さん(スイーツジャーナリスト)
スイーツ情報WEB「幸せのケーキ共和国」主宰。スイーツジャーナリストとして全国銘菓に精通し、TV・雑誌等各メディアで発信。「All About」スイーツガイドも務める。イベント企画や司会、企業や自治体のスイーツ開発など幅広く活動。セミナーや製菓系学校での講師も務める。TVチャンピオン「デパ地下グルメ選手権」優勝。著書に『東京最高のパティスリー』(ぴあ)、『まんぷく東京 レアもの絶品スイーツ』(KADOKAWA)等。『厳選スイーツ手帳』・『厳選ショコラ手帖』(世界文化社)を監修。
[ウェブサイト] 幸せのケーキ共和国Yahoo!ニュース オーサー
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『まんぷく東京 レアもの絶品スイーツ』&『東京最高のパティスリー』
監修本『厳選スイーツ手帖』(世界文化社)
監修本『厳選ショコラ手帖』(世界文化社)
「おいしいマルシェ」(「人気店の定番スイーツ」vol.65)
令和アカデミー倶楽部「金沢の新年菓子食べ比べ~福梅や花びら餅」講座