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嶋啓祐さん(フードビジネスデザイナー)
日本を感じる味わいに舌が躍る、鎌倉の朝の贅沢な味わい
初夏の美しさと言えば紫陽花。朝露に煌めく花を見に何年かぶりに鎌倉に足を運んだ。6月初旬だとまだ人通りは少なく、ゆっくりと寺内の空気と気品ある紫陽花を見ることができたのは幸運だった。さらに嬉しかったのは、北鎌倉から鎌倉までの散歩の途中に路地を少し入ったところに「とも乃」さんのショップをみつけたことだ。鎌倉の喧騒は路地から一歩入るとすぐに静寂の世界が存在する。
今回ご紹介する「鎌倉とも乃」さん。静かで落ち着いた店内は信楽焼や地元出身のアーティストの展示販売もされており、買い物だけではない心地よい時間も用意されている。
試食でしらす山椒をいただいた。
「これは旨い。」
久しぶりに日本を感じる味わいに舌が躍った。同時に、炊き立てのご飯に乗せていただく自分を想像した。
「ご飯だけではなく、サラダやパスタにも合うんですよ」とご主人。そうか、これぞという逸品は使う側のアイデアでユーティリティーフードにもなるのか……
早速自宅でごはんを炊き、梅風味のじゃこふりかけと一緒にいただいた。ふわっと湧き上がる潮の香りと梅の匂い。かつて見た鞆の浦の美しい海岸線と青い海が記憶をよぎる。それは決してガツガツとご飯を掻き込むのではなく、少しづつていねいに日本の食文化をいただくという、休日のとても落ち着いた朝ごはんになる。
大好物のクレソンとみょうがのサラダにかけてみた。
「おおー、これだけでドレッシング替わりになる!それどころか今まで感じたことのない味だ。」
そのあと作ったパスタペペロンチーノに振りかけると、それはもう言葉もない。パスタとの相性はとてもいい。塩を少なめにして盛り付けた最後に振りかける。そこには自分だけのぜいたく感が生れるだろう。
生七味入りしらす味噌はさらに危険だ。まずはごはんに。ピリッとした絡みがすぐにおかわりを求めてくるだろう。味噌汁に少しだけ入れてみた。七味の香りと溶け合い、いつもと違う味噌汁に変わってくれる。
基本は「しらす」だ。そこに、梅や山椒、味噌といった日本ならではの食材を加え、作り上げた調味料は、もはや調味料ではないかもしれない。ひとつひとつが料理として存在感を放つ。保存料は加えられていないので、開封後は冷蔵庫で保管したい。
この詰め合わせセットは、じゃこふりかけ、じゃこふりかけ梅、 生七味入りしらす味噌からなる。この夏の食卓に新しい味わいが届けられるだろう。そして手土産やギフトにもぴったりかもしれない。
嶋啓祐さん(フードビジネスデザイナー)
全国の食材や加工品をPRするフードビジネスデザイナー。自然、風土、生産者、素材、そして料理人とその先にいる顧客、食に関わるすべての方が幸せになるような「フードデザインによる地方創生」を仕事にしている。おとりよせの達人ほか、02年よりオールアバウトにてフレンチガイド、ぐるなびのippinキュレーターを務める。北海道出身。
[ウェブサイト] All About フレンチガイド