お取り寄せの達人のオススメ!
清水美穂子さん(ブレッドジャーナリスト)
さわやかな柑橘の香りに、朝が待ち遠しくなる
袋を開けると、パンのふくよかな、そして伊予柑のさわやかな香りが立ち上ります。一日の始まりにぴったり。この食パンは福岡県産小麦、「ミナミノカオリ」をメインに、北海道産の「春よ恋」をブレンドした奥ゆきのある味わいで、少し厚めにスライスして、焼き網などでじっくり焼くのに向いています。どんなに忙しい朝でも、アミーンズオーヴンのパンがある日は、時間の流れがゆっくりになる気がします。こんがりと香ばしく焼けたなら、冷たい無塩バターをスライスしてのせて、溶けないうちに食べるのがおすすめ。バターは発酵バターならなお、さわやかです。マスカルポーネチーズもよく合います。除草剤や化学肥料を使わずに栽培した、愛媛産いよかんのピールは香りが秀逸。マーマレードいらずです。
最初にアミーンズオーヴンからパンを取り寄せて食べ、感動して、店主のミシマショウジさんに会いにゆき、インタビューをさせていただいたのは確か2004年のこと。現在は居心地のよいカフェを併設したお店になっているけれど、当時はお取り寄せのみの、実店舗を持たないオンラインショップでした。
オンラインショップは、家から何百キロ離れていても、真夜中でも、おいしそうなパンが並び、お客を迎え入れてくれます。が、笑顔の店員さんもいないし、パンの焼ける香りもしてこない。それなのに、アミーンズオーヴンのオンラインショップでパンを眺めていたわたしは、すっかり魅了されてしまったのです。そこにはパンの香りや店員さんの笑顔に匹敵する、ミシマさんの言葉があったからです。彼は詩を書くパン屋さん、いや、パンを焼く詩人だったのでした。
アミーンズオーヴンのホームページの冒頭には、“ONE OVEN ONE TABLE & ONE LOVE”という詩が置かれています。「一つの窯から作られるパンを一つのテーブルで分かち合おう」というのが、アミーンズオーヴンのカフェのテーマ。お取り寄せのパンが気に入ったら、お店とカフェにもいつかぜひ、足を運んでみてください。
清水美穂子さん(ブレッドジャーナリスト)
東京生まれ。おいしいパンとそれをつくる人びとを取材する一方で、日常の食事の愉しみ、bread+something good(パンと何かいいもの)を提案する日々。関連企画のコーディネート、執筆多数。総合情報サイトAll Aboutではパンのガイドを務める。著書に『おいしいパン屋さんのつくりかた』(ソフトバンククリエイティブ)『日々のパン手帖~パンを愉しむsomething good』(メディアファクトリー)。
[ウェブサイト] Bread JournalAll About(パン)
レッツエンジョイ東京