お取り寄せの達人のオススメ!
甲斐みのりさん(文筆家)
いつもの料理が燻製の香りで特別に変わる
今年2020年の初めに大阪難波に開業した「シタディーンなんば大阪」は、デパートメントホテルがコンセプトの滞在型ホテル。昭和初期に建てられた歴史ある百貨店建築をリノベーションして、モダンなホテルに生まれ変わりました。
クラシックホテルや建築散歩の本を出版するほど建築好きということもあって、建築半日散歩の連載を始めることに。その第一回目として、シタディーンなんば大阪に宿泊。
アール・デコ調のオリジナルのデザインを残した1階エントランスの周辺には、デパートの風景が壁に描かれ、そのまま買い物を楽しみたい気分に。
そんな中、目にとまったのが、エントランスの並びにあるショップ「勘田亀吉製燻所」でした。
ニューヨークのデリのような洗練された雰囲気の店内には、さまざまな燻製商品が並んでいます。サーモン、明太子、煮玉子、チーズ、ベーコン、さば、ピスタチオ、「燻菓」なるお菓子も。
お店の方に、ここにある品々はヒノキやサクラのチップで10時間ほど燻製したものという説明を伺い、いくつか試食をさせていただきました。
うっとりするほどスモーキーな香りをまとった食材は、ビールやハイボールと合わせたらさぞかしステキな時間が過ごせるでしょう。しかしかながらそのときは、さらに別の土地へ立ち寄ることになっていたため、気軽に持ち帰れるものはないか聞いてみました。
そうして紹介いただいたのが、イタリア産オリーブオイルを燻製した「イタリア産燻製オリーブオイル」。
オリーブオイルを低温で長時間燻製することで、オイルが本来持つ香りと燻香がバランスよく調和し、独特な存在に。とはいえ、そこまで強烈な癖があるわけではなく、いろいろな料理に合わせてもちゃんと主役の素材を引き立ててくれるだろうと想像ができ、「国産燻製マヨネーズ」と一緒に買って帰りました。
その後、家で過ごす時間が増えた中、日々の料理に大活躍。生野菜、グリルした野菜や肉、刺身や冷奴にとろんとかけて塩をふるだけで、なんでもない料理がほんのり燻香が寄り添う特別な味わいに。
オススメの使い方に、「味噌汁に数滴かけて」とあったので、その通りにしてみたところ、「料理屋の味に変身!」と感動しました。
スマートな陶器のボトルに入っているので、そのまま食卓に出しても風景の邪魔になりません。料理好きの友人への贈りものにも選びたい、リピートしたい調味料との出会いです。