お取り寄せの達人のオススメ!
甲斐みのりさん(文筆家)
昔ながらのポン菓子から生まれたグルテンフリーのサブレ
西日本最高峰の石鎚山から湧き出る豊かな水に恵まれ、田んぼが広がり米作りが盛んな愛媛県西条市で、2010年からポン菓子を作る〈ひなのや〉に出会ったのはいつだったでしょう。
最初は東京の食のセレクトショップに置いてあった、愛らしいパッケージのポン菓子を何気なく手に取り購入したのですが、家に帰って食べ始めると、あまりのおいしさに一袋いっきに空けてしまったことを思い出します。
それからは、販売店でそのとき揃っている味をまとめ買いして自分自身のおやつに味わったり、贈り物にも役立てるように。
最初はポン菓子と聞いて、幼い頃に駄菓子屋に並んでいた昔ながらのシンプルな味を想像していいたのですが、伊予柑、きび砂糖、キャラメルナッツ、醤油、甘塩、黒蜜きなこ、季節によってはチョコレートなど、素材の持ち味を活かしたさまざまなフレーバーと合わせたポン菓子が、しっかり現代のおやつに昇華されていることに、がしっと胸をつかまれました。
ポン菓子に使用しているのは、地元の契約農家から仕入れる高品質なお米。昔から愛媛県東予地方では、「マメに元気に暮らせるように」という願いを込めて、婚礼菓子にポン菓子を配る習慣があったそうです。
そんな地域の特産と文化を、大切に守りながら全国に広げていこうと立ち上がったのが、オーナーの玉井大蔵さん。
私は、ひなのやのポン菓子があまりに好きなことから、西条を訪ねてポン菓子作りの現場を見学させていただいたことがあるのですが、お米に圧力をかけてポン菓子を製造する特別な機械が「ポン!」と大きな破裂音をたてるたび、ここからあのおいしい味が生まれているのかと大興奮。のどかな西条の風景を自分自身で感じて以来、おいしさや愛情もさらに倍増しました。
そんなひなのやのポン菓子は、いわずもがなおすすめなのですが、今回紹介したいのが、新商品の「ひなのやサブレ」。はじいたばかりの玄米のポン菓子を製粉して米粉と合わせ、一枚ずつ丁寧に焼き上げた、ざっくりとした歯応えのシンプルなサブレです。
国産無添加素材にこだわり、玄米ならではの滋味豊かでどこか懐かしい風味に、ほっと一息。ひなスズメをかたどった丸っこいサブレの形も愛嬌たっぷり。
それから、サブレの間に敷き詰められた緩衝材に、ポン菓子が使われているのも、ポン菓子専門店らしいユニークなスタイル。
ポストカードよりもひとまわりほど小さなサイズの愛らしい缶も、おやつとして食べきるのにちょうどいいサイズです。
コロナ禍以降、家にいながら豊かな気持ちでおやつの時間を過ごせる缶入りクッキーがブームですが、素材も見た目もひと味ちがった缶入りサブレを、ぜひお楽しみください。