お取り寄せの達人のオススメ!
菅井かおるさん(食と暮らしを楽しむ!「美食手帖」主宰)
初めて出合った白いカステラは、大吟醸酒の酒粕のかぐわしい香り
中央自動車道の勝沼インターを降りて国道20号線を甲府方面に進むと、里の駅いちのみやという地元の名産品などを集めた施設があります。今年の初め、こちらの施設で、珍しい白いカステラを購入したというクチコミを見つけました。
信玄餅で有名な山梨の和菓子屋さん「金精軒」の人気商品で、「大吟醸粕てら」という名前のカステラだそうです。金精軒と言えば夏季限定販売の水信玄餅も人気で、行列のできるスイーツとしてよく話題になりますね。
数日後に山梨への旅行を予定していたので、初日に里の駅いちのみやに寄ることにしました。
広い店内を探して見つけた白いカステラは、20cm強の長さがあって、手に取ると予想よりも重さがありました。そのボリュームに急に躊躇した私は、図らずも買うのを諦めてお店を後にしてしまいました。
車に乗り込んでからふと我に返り、急いで近くの金精軒店舗を探して、無事に白いカステラを買うことができました。
「大吟醸粕てら」は、山梨県内で生産される限定醸造の大吟醸酒の酒粕を使用して作られます。お店の方が「このカステラは、金精軒本店お向かいの酒蔵七賢さんの酒粕を使っています」と教えてくださいました。白い和の風合いの箱の左上に、七賢と書かれた金色のシールが貼られていました(使用される酒粕は販売地域の酒蔵のものを選んでいるため変わることがあるそうです)。
八ヶ岳南麓の清水で作られたお酒からとれた酒粕は、それはそれは風味が豊かです。白い箱を開けて金色の袋を開封したとたん、ふわ~っと日本酒のかぐわしい香りがしました。夫は、「どこかお味噌の香りに似ている」と言っていました。
カステラは、全体が薄いペーパーで覆われています。注意深くペーパーをはがすと、生食パンみたいにふんわりとしたカステラが現れました。
カットした断面はなめらかさとしっとり感があって、まるで絹豆腐みたいな感触です。口に入れると、ちょうどお正月明けというタイミングだったので、とっさに「伊達巻きのやわらかさと同じ」と感じました。
「大吟醸粕てら」は、大吟醸酒が放つ香りを引き立たせるため、卵黄は使わずに卵白だけで焼き上げています。なので、卵黄を使ったいつものカステラとは異なる香りで、華やかで澄んだ香りがします。生地の甘さも控えめです。冷蔵庫で冷やすと生地がよりきめ細やかに感じられるので、ぜひ試してみてください。
賞味期限は約3週間、常温で保存可能なので旅行中も安心でした。お酒好きな方への贈り物にしたら、とても喜んでもらえる予感がします。焼き上げる際にアルコール分は飛んでいるので、小さなお子さんも安心して食べられるそうですよ。
菅井かおるさん(食と暮らしを楽しむ!「美食手帖」主宰)
埼玉県出身東京都在住、高校生と中学生のママ。大学在学中より華道・池坊(師範免許取得)、茶道・裏千家を学ぶ。金融機関退社後ジャパンホームベーキングスクール、辻クッキングスクール、長沼静きもの学院等で学ぶ。数年前にプリザーブドフラワー&生花アレンジメントのディプロマを取得。「食を楽しむことが生活を楽しむことにつながる」がモットー。調理師免許を持つ母の影響もあり、歳を重ねるごとに食への執着は増すばかり…
[ウェブサイト] 美食手帖