お取り寄せの達人のオススメ!

小笠原由貴さん(チーズライター・パン教室「ラ・ナチュール」主宰)

とろ~りやわらか。秋冬限定、木箱に入った至福のチーズ。

 モン ドール

私が好きなチーズの中でも3本の指に入るのが、モン・ドール。フランスとスイスの国境地帯に広がるジュラ山脈で作られているウォッシュタイプのチーズです。熟成すると、中がとろとろに柔らかくなるので、エピセア(産地に自生している樅の木の一種)の樹皮でぐるっと周囲を囲んで形が崩れないように熟成し、さらにエピセアの木箱に入れた状態で販売されます。

このモン・ドール、製造期間は8月15日から翌年3月15日、そして販売期間は9月10日から翌年5月10日までと決められている季節限定のチーズ。だから、秋の気配を感じる頃になると、チーズ好き、モン・ドール好きの人たちが、そろそろかな??と、解禁を楽しみにしているのです。

フランスでの販売開始が9月10日からですから、それが手続きを経て日本へ入り始めるのが9月下旬から10月上旬にかけて。初物を仕入れて旬の走りを楽しむのも一興です。

また、品質が安定してくる晩秋~冬の旬の盛りにいただくのもおすすめです。ちょうどその頃はボージョレー・ヌーボーの解禁日やクリスマス、年末年始等、人が集まる機会が多いので、そんな時にモン・ドールがひとつあれば素晴らしい一品になってくれます。

モン・ドールを作っている地域では、もともとコンテ等の大型ハードタイプチーズを作るのが主流ですが、乳量の減ってくる秋冬は大型チーズを作るためのミルクを確保するのが難しくなります。そんな時に少ないミルクでできるチーズを、という事で500g前後~3㎏サイズで作り始めたのがモン・ドールです。そのため秋冬限定で製造期間が決められているのです。

名前の由来は、このチーズの生まれ故郷、ジュラ山地にそびえる“モン・ドール山”から。そして、モン・ドール山を含むジュラの山々のフランス側とスイス側の両方でモン・ドールが作られており、それぞれにいろんな生産者さんがいますが、今回ご紹介しているフェルミエさんのものは、フランス、アルノー社製。

フェルミエさんでは、様々な作り手のモン・ドールを実際に試食した上で輸入しているので、その品質は信頼のおけるもの。実際何度もアルノー社のモン・ドールを食べていますが、いつもミルクの風味が豊かでコクがありながらも優しい味わい。とろりとした柔らかさも絶妙で、後味がとても綺麗。誰もが素直に“美味しい”と思える味です。

常に品質が安定していて裏切られた事がありません。チーズで失敗しないためには、こういった信頼のおけるお店で購入するのも大切なポイントです。

モン・ドールを食べる時は、まずは皮の上部を切り取るか穴を開け、柔らかな中身をスプーンですくってパンにつけていただきましょう。

なめらかで濃厚なミルク感を楽しんだ後は、パン粉を振ってオーブンかトースターへ。パン粉に焼き色が付き、チーズがグツグツしたら、それをチーズフォンデュの様にしていただくのも至福です。ぜひお試しください。

※編集部注:入荷次第の発送のため、詳しい発送日は販売ページでご確認ください。

小笠原由貴さん(チーズライター・パン教室「ラ・ナチュール」主宰)

旅行会社勤務を経て渡米。ナパバレーやバークレーでの料理修行を通し、地産地消、オーガニック、素材を活かした料理を知る。帰国後、レストランやチーズ専門店で働いた後、パン教室をオープン。Simple & Natural をモットーとするレシピに質の良い食材は欠かせず、美味しいものを求めて、お取り寄せするのはもちろん、国内外の生産者を実際に訪ねている。また、チーズセミナーの講師を務めたり、All About等の媒体でチーズについての記事を執筆。最近では、スウェーデンMATEUS社の食器を販売する“La Table”も運営。

[ウェブサイト] パン教室“la nature”
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