お取り寄せの達人のオススメ!

松浦達也さん(フードアクティビスト/ライター/編集者)

超高品質のホルモンに、製麺所直送の焼きそば麺という最強タッグ

 ホルそば(4食入り)

夏の麺と言えば焼きそばである。「この暑いのに?」と思われる方も、どうか聞いていただきたい。

アツアツに熱した鉄板やフライパンでジャアジャアと具材を炒め、茹でた中華麺をザバアッと投じて、麺に野菜や肉のエキスを絡める。仕上げにソースを垂らした瞬間、ジュウジュウという音とともに、水蒸気がもうもうと立ち上る。

麺と具とソースが三位一体となった焼きそばを豪快にすすれば、肌にはじんわりと汗がにじみ、キンキンに冷えたグラスの液体を喉に流し込みたくなる。これほど夏が似合う食べ物の旬を逃してはならない。

そして取り寄せできる、肉入り焼きそばの最高峰と言えばサカエヤ(滋賀県)の「ホルそば」である。名称を見てもわかるように、肉と言っても内臓肉のホルモンが同梱されている。そしてこのホルモンがただものではない。

「サカエヤ」とは、レストランのシェフ垂涎、全国に名を轟かせる精肉店の「サカエヤ」のこと。店頭のショーケースで誰もがうっとりする、ツヤと締まりのあるサカエヤのホルモン(小腸)が、特注麺と特製ソースとのセットで届くのだ。

実はこの「ホルそば」は、店主の新保吉伸さんが直々に商品開発に携わったもの。開発当初はご自身の麺に対する思い入れが強すぎて、相談する製麺所に「そんなんできまへんがな」と片っ端から断られ、ようやく「8軒めか9軒めで」引き受けてもらうことができたのが十数年前。

ところがいまから3年前にその製麺所が廃業することになり、麺は新しい中華麺やパスタの開発に定評のある岡山県の「冨士麺ず工房」に依頼することに。「卵アレルギーのお客様にも食べていただけるよう、卵は抜きで」というさらなる難題をクリアし「もちもちした食感はそのまま」という素晴らしい麺が完成した。

特製のソースも醤油ベースで甘辛さのなかにピリリと引き締まった、代えの効かない味わい。味にとてもうるさい、新保さん自身が何度も試食を繰り返したもので、商品名になっているホルモン自体も、“肉名人”をして「処理に手間をかけていて、とにかく作るのに時間がかかる」という代物。

ホルモンを解凍し、野菜を炒め、麺を絡めて、特製ソースで仕上げる。ジュウジュウと沸き立つような音とともに、あたりに立ち込める熱気と香りで、減退気味だった食欲が急激に回復し、気づけば皿の上からみるみるうちにホルそばが消えていく。傍らに置くべきキンキンに冷えた飲み物は、水良し、麦茶良し、もちろんビール良し。

ホルそばのおいしさは、真夏にこそ存分に堪能したい味わいだ。まだ夏の香りが残っているうちに、またぜひズズズッとすすり上げたい。

松浦達也さん(フードアクティビスト/ライター/編集者)

調理の仕組みや科学、食文化史などを踏まえ、料理誌・一般誌・新聞・書籍・Webまで幅広く執筆・編集を手がける。テレビ等で食トレンドやニュース解説も。著書『大人の肉ドリル』は肉好きのバイブルとしてロングセラーに。他『新しい卵ドリル』(以上マガジンハウス)、『ハイボールとつまみ』(主婦の友社 ※監修)や、共著も審査員をつとめるレストラン年鑑『東京最高のレストラン』(ぴあ)ほか多数。マンガ大賞選考員、日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクターでもある。

[ウェブサイト] 食とグルメ、本当のナイショ話 -生産現場から飲食店まで-(Yahoo! ニュース個人)
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