妻籠の秋 柿と栗 5個箱入
澤田屋
去年の秋、長野県東御市のワイナリーをたずねたとき、近くの海野宿に立ちよりました。江戸時代の面影が残る宿場町です。その町並みを見たときに、以前猪苗代湖を旅行したときよった、大内宿を思い出しました。もう10年以上も前になるのですが、そのときの異空間に迷いこんだような感覚が、強く印象に残っていたのです。
夫に「むかし飛騨高山に旅行したときも、こういう宿場町に行ったよね?」と聞くと、「たしか木曽路にある、なんとか宿だったような…」とあいまいな返事。
自宅にもどってからアルバムを見かえすと、奈良井宿だったことがわかりました。木曽路に11ある宿場町のうちの一つです。地図で木曽路の位置を確認しながら、一番南にある馬籠宿とその隣の妻籠宿も、「いつかたずねてみたいな」と思いました。
と同時に、妻籠のあたりに、干し柿の中に栗きんとんを入れたお菓子があったことを思い出しました。数年前に知人からいただいて、自然のやさしい甘さが気に入った和菓子です。妻籠宿周辺にお店をかまえる「御菓子司 澤田屋」の人 気商品で、「妻籠の秋 柿と栗」という風情ある名がついています。
子供のころは、家にお歳暮でいただいた箱入りの干し柿があっても見向きもしなかったのに、大人になった今では干し柿が大好き。まるでパウダーシュガーをまとわせたかのような、干し柿表面の白い粉は天然の産物。乾燥の工程で果実の内部からしみ出たぶどう糖が、結晶化したものです。
「妻籠の秋 柿と栗」は、市田柿の干し柿の中に栗きんとんがつまっていて、コロンとしたかわいいフォルム。ヘタがついたままの姿は、本物の柿みたいにリアルです。包み紙には「木曽路の話」という題で、最後「つまごの秋 柿と栗」で 終わる文が書かれています。味のある筆文字に、なんだかほっこりしてきます。
半分に切りわけると、黄かっ色の干し柿の中に、淡い黄色をした栗きんとん。紅葉にそまる山々の色あいにも似た取りあわせです。
口にふくめば、栗きんとんだけより華やかで、干し柿だけよりまろやか。干し柿は濃厚でねっとりして、柿のおいしさが凝縮されています。栗きんとんは、栗本来の風味がいきた香りよい仕上がり。柿と栗がお互いのよさを引き立てあい、秋の深まりを満喫できるお菓子です。
更新日:2018年10月15日
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