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平岩理緒さん(スイーツジャーナリスト)

缶も愛おしい!大人気分で味わったヨックモックの知る人ぞ知る季節限定品

 ポーム ド テール 6個入り

「ヨックモック」の店頭で赤い缶を見かけると、今年も「ポーム ド テール」の季節がやってきたな、と感慨深く思われます。秋冬限定の商品で、翌年3月までの販売。理由の一つは、周囲がチョコレートで覆われていて、とけやすく繊細であるため。また、数ヶ月間、洋酒に漬け込んだドライフルーツを練り込んだフルーツケーキにバタークリームを薄く塗り、マジパンとミルクチョコレートで包み込んだ、ぎゅっと凝縮された濃厚な味わいは、ちょっと寒い時期にぴったり。温かい紅茶と合わせていただきたくなるのです。

実は、1972年発売のロングセラー商品なのですが、看板商品の「シガール」はご存知でも、こちらを差し上げると、初めて見たという方も少なくなく、知る人ぞ知る通向けの品!

“ポーム ド テール”とは、フランス語で直訳すると“大地のりんご”という意味で、「じゃがいも」のこと。最初に知った時は、お菓子としては面白いネーミングだな、と思ったのですが、後年、フランスをはじめとするヨーロッパの菓子店には、実際にこのような菓子があることを知ります。洋酒の効いたドライフルーツたっぷりの生地をマジパンで包み、じゃがいもや無花果などの形を模した可愛らしいお菓子です。ヨックモックでは、早くからそんな欧州の趣きを漂わせるお菓子を作っていたのだなと、改めて感銘を受けました。

常温で持ち歩けますが、冷蔵庫で保存すると、最初は表面のチョコレートやバタークリームもひんやり。ゆっくりと時間をかけて、常温に戻しながら食べると、洋酒とフルーツの芳醇な香りが開いていく変化が楽しめます。

お酒がかなり効いているので、成人前には、こんな大人っぽいお菓子が好きでいいのかしら?と思いつつ、やはりこのお菓子が大好きな母と一緒に、ちょっと背伸びするような気分でいただいていました。

「ヨックモック」は昔から母がファンで、私もよく、デパ地下の売り場に連れていってもらいましたが、我が家でも、この品に気づいたのは、現在の缶デザインになってからでした。

私が幼い頃、家では、「ヨックモック」で1974年から使用されていたという、織柄模様をテーマにした紺と白の二代目デザイン缶が、母の裁縫道具や予備ボタン入れとなっていました。一方私は、1991年から登場した「やさしく、やわらかく、あたたかく、光を発する」をテーマとした三代目、現在も使われている缶のシリーズに魅せられ、大きな青い缶をワープロのフロッピーディスク入れに、商品によって色の異なる赤紫やベージュの缶も文具入れなどに使っていました。

その中でも、この「ポーム ド テール」の赤い缶は、赤いりんごや暖炉の火を思わせる温かな色彩が美しく、とてもお気に入りでした。

冬のギフトにぴったり! もちろん、バレンタインデーやホワイトデーにもお勧めしたい品です。受け取られた方の心をほっこりとさせてくれることでしょう。

平岩理緒さん(スイーツジャーナリスト)

スイーツ情報WEB「幸せのケーキ共和国」主宰。スイーツジャーナリストとして全国銘菓に精通し、TV・雑誌等各メディアで発信。「All About」スイーツガイドも務める。イベント企画や司会、企業や自治体のスイーツ開発など幅広く活動。セミナーや製菓系学校での講師も務める。TVチャンピオン「デパ地下グルメ選手権」優勝。著書に『東京最高のパティスリー』(ぴあ)、『まんぷく東京 レアもの絶品スイーツ』(KADOKAWA)等。『厳選スイーツ手帳』・『厳選ショコラ手帖』(世界文化社)を監修。

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『まんぷく東京 レアもの絶品スイーツ』&『東京最高のパティスリー』
監修本『厳選スイーツ手帖』(世界文化社)
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「おいしいマルシェ」(「人気店の定番スイーツ」vol.65)
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