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菅井かおるさん(食と暮らしを楽しむ!「美食手帖」主宰)
予想を超えた!山芋入りソフトクッキーのマーガリンサンド
ときどき拝読しているブログに「秩父の三峯神社に行ってきました」という記事を見つけて、外秩父の山に囲まれて育った私は「あっ懐かしい」と思い読み進んだら、「美味しすぎ」というお菓子の記事にたどり着きました。
そのお菓子は、上品な藤色のパッケージに包まれた「小鹿野こいし」という名前の和菓子で、見た目からは粒餡かこし餡が挟まれている風なのですが、意外にもマーガリンが挟んであると書かれていました。
記事の中ではその味を「予想外」と表現されていましたが、その見た目以上の美味しさが読んでいるこちら側にも伝わって、好奇心をくすぐられました。
実家の母に電話をして、「小鹿野に『小鹿野こいし』という美味しいお菓子があるみたいなんだけど、知ってる?」と聞いたら、「知らないから、明日秩父に住んでるお友達を誘って買いに行ってくる!」と、抜群の行動力を見せてくれました。
「小鹿野こいし」は、山芋を練りこんだソフトクッキーでマーガリンをサンドした、秩父のお隣の小鹿野町にある老舗和菓子店「八宮松雪堂」の看板商品です。
商品名の「こいし」には、小鹿野町を流れる赤平川の「小石」と故郷を「恋し」く思う気持ちの、二つの意味が込められているそうです。
手焼き感が前面に出た飾り気のない生地に、トッピングのさざ波をイメージした白いメレンゲが立体感と躍動感を与えています。
「小鹿野こいし」を試食した母は、「今までに食べたことのないお菓子。すぐにまた食べたくなる味でしばらくハマりそう」と言って、早速次の日わが家に送ってくれました。
山芋を使ったお菓子なので、鹿児島銘菓「かるかん」や「薯蕷饅頭」に似ているのかも……と予想していたのですが、実際はいくつもの食感を持ち合わせていてビックリしました。
生地の表面のひび割れた感じがブッセに似ていたので、「軽い口どけなのかな?」と思って食べ始めると、表面は乾いた感じでサクッとしているのに、中はふんわりとした柔らかさがあって、噛むほどにもっちりしっとりとした口あたりでした。
マーガリンの効果で舌ざわりがなめらかになり、生地の質感を一層際立たせているようでした。さらに、マーガリンの適度な塩味とマイルドな味わいが、バランスのよい甘味とミルク感のあるコクを生んでいました。
「小鹿野こいし」は、原材料が小麦粉、砂糖、卵、山芋、マーガリン、ベーキングパウダー、重曹のみのベーシックなお菓子で、賞味期限は7日間です。
母はあれから2ヶ月近く経った今もまだ、「小鹿野こいし」を毎朝1個食べているそうです。最近朝はコーヒーだけの息子も「朝食の代わりにしたい」と言うほど、朝から食べたくなるやさしい味わいです。
懐かしさと飽きの来ない素朴さを兼ねた、不思議な魅力があります。
菅井かおるさん(食と暮らしを楽しむ!「美食手帖」主宰)
埼玉県出身東京都在住、高校生と中学生のママ。大学在学中より華道・池坊(師範免許取得)、茶道・裏千家を学ぶ。金融機関退社後ジャパンホームベーキングスクール、辻クッキングスクール、長沼静きもの学院等で学ぶ。数年前にプリザーブドフラワー&生花アレンジメントのディプロマを取得。「食を楽しむことが生活を楽しむことにつながる」がモットー。調理師免許を持つ母の影響もあり、歳を重ねるごとに食への執着は増すばかり…
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