お取り寄せの達人のオススメ!
chicoさん(スイーツライター)
焼き芋の旨味が凝縮、プリンに秘めたおいも農家のおもい。
ほくほくでいてとろける焼き芋と、卵とミルクのやさしいプリン。みんな大好きな王道おやつが最高においしく融合してしまいした。
お芋の旨味に満ちたプリンを生み出したのは、江戸時代から320年以上続くさつまいも農家、「むさし野自然農場」。
30ほどのさつまいもの農家が並ぶ、埼玉県三芳町上富地区の通称「いも街道」。そこに広がる気持ちいいほど広大な畑で、代々続く落ち葉堆肥を使って元気なさつまいもを育んでいます。
そんなお芋農家が世のさつまいも好きのため、「OIMO cafe」を開いたのは2013年のこと。今やカフェスタンドなど3軒を構え、お芋のもーもーちゃーちゃーに、冷たい焼き芋デザートetc……。お芋を知り尽くすプロが、新たなカタチでさつまいもの可能性を広げています。
お芋のプリンは「OIMO cafe」(上富店と善福寺店)でもお取り寄せでも人気者。
品種豊富なさつまいもの中でも、「とにかく舌触りを良くしたくて」とプリンに選ばれたのは「シルクスイート」。とりわけ滑らかなこの芋を2時間以上かけてじっくり焼き芋にして、丁寧に裏漉ししてプリン液に混ぜ込んでいきます。きび糖を控えて焼き芋の甘さをたたせるのも、誰より素材を大切に思う農家だからこそ。
さつまいもの焼き壺を小さくしたみたいな壺、その蓋を開ければさつまいものプリンにカラメルが艶やか……と思いきや、これカラメルではないのです。その正体は芋蜜「あめどろ」。
「いもあめ」とか「からあめ」とも呼ばれる九州の郷土菓子で、戦時中に砂糖が高価で手に入れにくい時によく作られたんだそう。四国にも「芋りょうせん」という似たようなものがあり、少し前に朝ドラに出て話題をさらったっけ。
食材はシンプルながらなかなか手がかかるもの。まず焼き芋を作り、それを煮て麦芽を加え、4~5時間かけて保温器で糖化。それを濾して搾り、煮詰めてやっと完成するのだとか。
シルクスイートの焼き芋プリンとあめどろを一緒に口にすれば、滑らかな焼き芋の甘みや香ばしさが舌にとろけ、ぎゅっと凝縮したような素朴な旨味が口いっぱいに広がります。派手さはないけれど、なんと幸福なひと口だろう。
お芋を愛し真剣にお芋と向き合う農家が、さつまいもをもっと楽しくしてくれて。知っているようで知らないお芋の世界へ誘います。
chicoさん(スイーツライター)
スイーツトレンドに精通し、「anan」や「Hanako」、「ELLE goumet」はじめ多数の雑誌やWeb、TVでスイーツ記事の執筆や特集企画監修・出演を行うほか、ギフトのセレクトショップ、ECサイトなどでスイーツ監修も手がける。「anan」で「Food topics 〜chicoのお菓子な宝物」、「SALUS」で「もらって嬉しい手土産スイーツ」を連載中。『東京の本当においしいスイーツ探し』シリーズ監修。共著に『東京最高のパティスリー』。
[ウェブサイト] Twitter「anan」連載中「chicoのお菓子な宝物」
「SALUS」連載中「もらって嬉しい手土産スイーツ」