しば漬風味 おらがむら漬
京つけもの ニシダや
京都の3大漬物と言えば、すぐき、千枚漬け、しば漬け。その中で、大好きだったのがしば漬け。京都に住んでいた幼少のころから食べなれていた漬物だ。テレビCMで「あー、しば漬け食べたい」が流行った時には、日常すぎて、何をいまさらと感じたぐらい食べてきた。
祖母が大好きでまとめ買いをしたものをお裾分けしてもらっていたのが「ニシダや」のしば漬け。いや、正確には、しば漬け風味の「おらがむら漬け」。我が家では、これをしば漬けとして呼び食べていた。着物で働く女性のイラストが描かれた昔ながらのロゴ。これが書かれた包装紙を見てしまうと、その日中に「おらがむら漬け」を食べずにはいられない。
「おらがむら漬け」の一番の特徴は、京都の洛北大原に伝わるナスがメインのしば漬けに、キュウリや、生姜、ミョウガを加えているところだ。ナスも含めて4種の野菜を紫蘇といっしょに漬けて、独自の風味に仕立て上げたものがニシダやの「おらがむら漬け」。
母は、袋から開けると、そのまま器に盛り付けるのではなく、ザクザクと漬物を刻むことから始める。なぜなら、刻まずに出すと、私がキュウリだけ狙って食べるからだ。子どもの好みとしては、コリコリとした触感のきゅうりが一番好きで、自由に食べさせると、キュウリ無しの「おらがむら漬け」になってしまうのだ。
年を重ねるにつれて、ナスやミョウガの味わいも好きになる。お弁当のオカズや、おにぎりの具にも「おらがむら漬け」はもってこい。〆ごはんの定番は、刻んだ「おらがむら漬け」を、炊き立てごはんの上にのせてお茶をかけて食べる「おらがむら茶漬け」。お茶が、紫蘇の色で赤く染まり汁まで美味しい。
酸っぱい漬物は、子どもが好まない味の時もある。だが、このおらがむら漬けの、程よいさわやかな酸味は老若男女問わず食べやすい。
京都の土産には欠かせない漬物。何がいい?と聞かれたら、京都人が3代に渡って愛する「おらがむら漬け」を迷わず選ぶ。
更新日:2019年07月19日
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