とろはた一夜干し 800g
中村商店
この日本は、美味しいものに溢れている。とてもいいことだが、消費者からすると正直選びきれない。だからこそ「お取り寄せの達人」が紹介する一品は、購入の目安になるだろう。その達人も、実は「地元の達人」から情報を仕入れて「これは美味い!」に出会うのだ。
鳥取の「とろはたの一夜干し」がまさにそう。350年の歴史を持つ賀露港(鳥取港)で、昭和元年から鮮魚の仲買人を営み、今では鮮魚・カニ仲買、水産物卸、水産物加工を行う中村商店の中村俊介社長に、現地で教えてもらったのだ。
賀露港は11月から、漁が解禁される松葉がにのセリと販売で賑わう。多くの人が、松葉がにや親がに目当てに、全国から集まってくる。そんな松葉がにのような眼玉商品ではないが、現地にキラリと光る一品があった。「とろはたの一夜干し」だ。
「とろはた」とは鳥取で水揚げされた、全長20cm以上の大ぶりのはたはたのこと。漁獲量の数%しか獲れない大変希少価値の高いはたはたなのだ。「とろ」と付くのは、10%以上とも言われる「脂」がのっているから。これを朝に焼いて食べるのが、中村社長のパワーモーニング。
これをさっそく買い、家に持ち帰りグリルで焼いた。まず見た目が大きい。魚屋でパックにまとめて干物で売られている「はたはた」とは別もの。存在感たっぷり。
さっと焼いて食べてみる。なに、この皮の香ばしさ。焼ける煙から香る期待そのままに美味い。そして脂がのったトロ身がジューシーなこと。小さなはたはたは、骨が食べづらかった記憶があるのだが、とろはたは骨まで食べやすい。さらには、まったく魚臭くないのだ。
中村商店の加工場兼販売所は、水揚げされる港の前だ。仕入れた魚をすぐに加工し、一夜干しにする。干物の美味さは、仲買の目利きと鮮度と、丁寧に魚を扱う職人の技が合わさってのもの。とろはたの一夜干しは、それが全部詰まった一品だ。
人は、想像を超える美味しさに出会うと幸せになる。そして、どこかで独り占めして食べたい欲求に駆られながら、家族の分を焼いている自分がいる。
更新日:2020年12月15日
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