極厚カナダビーフ・1ポンドステーキ
カナダビーフ館
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僕は、ステーキなら1ポンドからと、うそぶく男である。それがどんなに硬い肉でも、調理がいまいちであっても、喜んで食してきた。しかし、このカナディアンビーフときたら、わがステーキ人生上、チャンピオンたる1ポンドである。
まず、出自が素晴らしい。カナダAAAグレードのリブアイロール。肩ロースとサーロインを隣人に持つ、牛肉界のセレブリティだ。著名な出身者には、欧米でも好んで食される、巨漢のプライムリブがいる。
冷凍で送られてきた1ポンドステーキを早速解凍してみると、何ともしっとりとしたいい肉である。赤身の柔らかさ、適度な脂肪の乗り方、じっとりと垂れてくる血の色と、それに染まることのない肉質の高さ。僕がよくアメリカで購入していた、セール品のアンガスの腿肉あたりとは、同じ1ポンドでも品格が違う。
脂肪の色も雪のように真っ白で、ばらつきがない。良い環境で、良い餌を与えられて育った牛であることが一目瞭然だ。赤身の柔らかさは、その筋繊維の肌理が細かくて、整っていることを示している。手に乗せると、均一にしなるのだ。
厚みは3センチ。これこそ肉を食べていると実感できる厚みだ。しかも、いい肉でなければ、その厚さが仇となり、硬くて食べにくいステーキになってしまうのだ。さてそれでは、何の躊躇もなく、この上等な肉をフライパンに乗せる。軽く塩コショウをして強火で焼く。筋がほとんどないので、筋切をせずとも肉が反らない。やや、焦げ付くくらいに焼いてひっくり返し、赤ワインを振りかけてみた。ステーキは、調理に時間がかからないのも魅力の一つだ。
皿に開けて寝かせ、2センチ幅にカット。火を通してもナイフの刃がすっと入るほど柔らかい。切れ目を上に盛り付ければ、何とも旨そうなピンク色である。たまらず一口かじると、肉の旨味がどっと押し寄せる。続いて牛脂の甘味が口でまろやかに。こんなに厚いステーキなのにこんなに柔らかくジューシーなのは、脂肪率も高いからだ。ぐぅー美味い!!
あえて甘目の白ワインと合わせてみると、これがベストマッチ。やさしい上等牛肉の香りを殺すことなく包んでくれた。1ポンドの幸せに喜んでTKOされた今宵の晩餐。是非、とっておきの一皿にお薦めである。
更新日:2014年11月25日
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