お取り寄せの達人のオススメ!

平岩理緒さん(スイーツジャーナリスト)

可愛らしいお菓子モチーフに心躍る、鎌倉発・小さな焼き菓子のアソート缶

 プティフール缶(ピンク)

ここ数年、クッキー缶をはじめとするお菓子の詰め合わせ缶がブームとなっています。

こちらの缶は、ピンク色にアンティーク調に描かれたお菓子の柄と、ちょこんと顔を覗かせるうさぎが可愛らしい。2016年8月に鎌倉の鶴岡八幡宮の近くにオープンしたフランス菓子店「パティスリー クグラパン」のものです。

オーナーシェフの笹岡鉄兵さんは、フランス菓子の人気店「エーグルドゥース」などを経て渡仏。修業先のアルザス地方で魅せられた伝統菓子「クグロフ」と、フランス語でうさぎを意味する「ラパン」とを合わせた店名をつけ、ロゴマークにも使っています。

そんな「クグラパン」のクッキー缶は、アルザスの伝統菓子「ブレッツエル」と「クグロフ」形の2種類が特に目を引きます。

フランスとドイツの国境に位置するアルザスは、ドイツの食文化の影響が強い土地。「ブレッツエル(Bretzel)」は、ドイツでも作られるパンの一種で、イースト入り発酵生地を、腕を組んだような形に成形して焼く独特の製法です。

笹岡シェフはオリジナルで、ほろほろした食べやすい生地に、鎌倉の近隣で栽培されている神奈川県生まれの柑橘「湘南ゴールド」の果皮を入れて、爽やかな香りに。

さらに表面にラム酒入りの砂糖衣の上掛けをしてあるので、口に入れると舌の上ですっととけて、華やかな柑橘の香りが広がります。フランス菓子と地元食材との融合、素敵ですね!

「クグロフ」形は、「スペキュロス」という、シナモンやクローブなどスパイス入りの焼き菓子となっていて、カリッとした食感が特徴です。フランスの北側の隣国・ベルギーの伝統銘菓として知られ、12月に特によく食べられます。

フランスの北東に位置するアルザスも、冬にはスパイスを使ったお菓子をよく食べる土地柄。笹岡シェフの、修業時代への思いが伝わってくるようです。

ローズマリー入りのサブレは、甘い味ですが塩味も効いていて、甘じょっぱい不思議な味わい。お酒にも合いそうです。

フィユテフロマージュは、チーズや胡椒入りで、パプリカパウダーや南仏のハーブなどをまぶした塩味パイなので、辛党の方にもお勧めです。

所々にキャラメルが散りばめられたサブレも合わせた全5種類。コンパクトながら、味わいも食感も多岐に富んだ充実の内容です。

フランス菓子店なので、「クッキー缶」ではなく、「プティフール缶」というフランス語の呼び名が正式な名称。元々、「プティフール」とは、コース料理でメインディッシュを調理した窯の残り火を使って焼き上げた、一口大の焼き菓子を指す言葉です。

食後のお茶やお酒に添えて楽しむのもいいですし、もちろん、ティータイムにおやつとして召し上がっても、優雅な気持ちになれること請け合いです。

平岩理緒さん(スイーツジャーナリスト)

スイーツ情報WEB「幸せのケーキ共和国」主宰。スイーツジャーナリストとして全国銘菓に精通し、TV・雑誌等各メディアで発信。「All About」スイーツガイドも務める。イベント企画や司会、企業や自治体のスイーツ開発など幅広く活動。セミナーや製菓系学校での講師も務める。TVチャンピオン「デパ地下グルメ選手権」優勝。著書に『東京最高のパティスリー』(ぴあ)、『まんぷく東京 レアもの絶品スイーツ』(KADOKAWA)等。『厳選スイーツ手帳』・『厳選ショコラ手帖』(世界文化社)を監修。

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『まんぷく東京 レアもの絶品スイーツ』&『東京最高のパティスリー』
監修本『厳選スイーツ手帖』(世界文化社)
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「おいしいマルシェ」(「人気店の定番スイーツ」vol.65)
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