お取り寄せの達人のオススメ!
小笠原由貴さん(チーズライター・パン教室「ラ・ナチュール」主宰)
バターってこんなに黄色いの?!バターの概念が変わるバター。
ん? これはチーズ? それとも着色してるの?? 何? どういうこと??
真っ黄色すぎて、初めて見た時の混乱と衝撃が忘れられないコチラ、実はバターなんです。広島の三良坂フロマージュさんが作っている、グラスフェッドのバターです。
こちらのバターがこんなに黄色いのは、実は牛たちが食べているものに理由があります。
三良坂フロマージュさんが取り組んでいるのは、「山地酪農」というスタイル。牛舎に牛を入れっぱなし、もしくは時々牛たちを牧場に放牧し、餌は穀物を与える、というのが一般的な酪農の姿。ところが山地酪農では、牧場ではなく、山に牛たちを1年を通して放し、牛舎もありません。
だから、牛たちは山を自由に歩き回り、山に生えているものを好きに食ベています。特に、春から夏にかけては様々な青草が生い茂るので、そんな青草をモリモリ食べている牛たちのミルクは栄養たっぷり。
青草には、黄色〜オレンジ色の色素でもあるカロテン(体内でビタミンAに変化)も豊富に含まれていますから、それが乳に移り、更には凝縮されてバターとなるので、こんなに鮮やかな黄色になるのです。
三良坂フロマージュさんの真っ黄色なグラスフェッドバターの色は、見た目が鮮やかで美しいだけでなく、栄養豊かな証。まさにビタミンカラーですね!
ちなみに”グラスフェッド”とは、家畜に草のみを食べさせて育てる事。通常、乳量が多くなるように牛には穀物も与えるのですが、牛の本来の食糧は、草。だからグラスフェッドは、牛の消化吸収システムに合っており、牛の健康にも良いのです。
更に、山地酪農で育てられている三良坂フロマージュさんの牛たちは、勾配のある山を自由に動き回るから、とっても健脚で健康で長生き。
牛たちが山で自由に過ごし、ストレスの無い幸せな生活を送っているのも、この上質なバターが出来上がる理由のひとつかもしれません。
そしてこのバター、食べるとまた驚きが!
パンにのせてひとくち口に入れると、あっという間にすぅ〜っと消えていく口どけの良さ! 「あれ、ワタシ今、塊のバター口に入れましたよね? どこ行っちゃったの??」と、これまた混乱。そして後味に残るのは、柔らかなミルクの風味。
食べた後の体への馴染みも良すぎて、バターを食べた事を忘れそうな軽やかさ。質の良い油脂はするすると体に吸い込まれていきます。だから、コレひとつまるっと全部食べても、私は胃もたれしません(経験者!)。
食べ過ぎると胃がもたれるとか、重いという、バターにありがちな事とは全く無縁で、今までのバターとは、完全に別物。バターの概念が変わりそうです。
ところでこちらのバターは、塩味がかなりしっかりめな有塩。だからパンに乗せたり、ラディッシュにつけて食べる(いわゆる“ラディバタ”)にはぴったり! もちろん、お料理や今話題のバターコーヒーに使うのもおすすめです。
なお、バターのこの花の形はマーガレット?それとも菊??と謎に思っていましたが、オーナー曰く、「ガーベラ!」との事でした。
健康な体作りに質の良い油脂は欠かせません。青草の茂る春〜夏限定の三良坂フロマージュさんのグラスフェッドバターは、美味しいもの好きにはもちろん、ヘルスコンシャスな方へも是非おすすめしたい逸品です。
小笠原由貴さん(チーズライター・パン教室「ラ・ナチュール」主宰)
旅行会社勤務を経て渡米。ナパバレーやバークレーでの料理修行を通し、地産地消、オーガニック、素材を活かした料理を知る。帰国後、レストランやチーズ専門店で働いた後、パン教室をオープン。Simple & Natural をモットーとするレシピに質の良い食材は欠かせず、美味しいものを求めて、お取り寄せするのはもちろん、国内外の生産者を実際に訪ねている。また、チーズセミナーの講師を務めたり、All About等の媒体でチーズについての記事を執筆。最近では、スウェーデンMATEUS社の食器を販売する“La Table”も運営。
[ウェブサイト] パン教室“la nature”All About チーズガイド
l'Atelier de Nature(ラトリエ ド ナチュール)
酪農ビストロのとろけるチーズレシピ