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平岩理緒さん(スイーツジャーナリスト)

カクテルの味わいを再現!老舗の八代目が生んだ、「自由」な羊羹

 りぶれ

山形の「乃し梅本舗 佐藤屋」は、創業が江戸の文政年間と、約200年もの歴史を誇る和菓子店です。中国から薬として伝わり、山形から広まったとも言われるご当地の代表銘菓「のし梅」については、公式の記録の中に残る最も古い製造の記録を持つ一軒なのだそう。

そんな由緒正しき老舗・八代目の佐藤慎太郎氏は、高島屋で開催される通称「ワカタク」こと「若き匠たちの挑戦」のイベント参加をはじめ、伝統を継承しつつ、新しい試みにも積極的に取り組んでいます。

この「りぶれ」も、そんな中から生まれた新作菓子の一つ。私も、最初に出会ったのは、高島屋の「ワカタク」催事でした。

これはつまり、黒糖とレモンの羊羹。と言っても、従来の羊羹のイメージを覆す、創意工夫に富んだ爽やかな一棹なのです。

包みを開けると、紙製の型の中には黒糖羊羹が。こちらにはラム酒を加えて練り上げてあり、アルコール成分自体は揮発させていますが、そもそも、ラム酒の原料はさとうきび。そして黒糖もさとうきびから作られるもの。相性のよさは間違いありません。

そして、型の底には、瀬戸内海に浮かぶ愛媛・怒和島(ぬわじま)産のレモンの輪切りを皮ごと蜜漬けしたものを、寒天を流して閉じ込めてあります。そのため、型から外すと、土台の黒糖羊羹の漆黒を背景に、透明の寒天の中にゆらめくレモンの皮の淡い黄色が映える、美しい出で立ちに心とらわれます。

冷蔵庫で冷やして、好きな大きさにカットしていただくのがお勧め。風味豊かなコクと香りが感じられる黒糖とラム酒の羊羹の甘さに、レモンの酸味と皮のほのかな苦みが合わさり、後味をさっぱりとさせてくれます。

「りぶれ」という菓銘は、佐藤さんがラム酒をべースにコーラとライム果汁を合わせた「キューバ・リブレ」と呼ばれるカクテルを飲んでいて着想したもの。小豆の「渋」とコーラの持つ「渋」の要素が似ているとも感じられたそうで、これに、ライム以上に気に入った国産レモンを合わせることで、カクテルと同じ味の構成を再現したそうです。

このカクテルは、キューバが独立国となったことを祝って生まれたと言われていて、「リブレ」はスペイン語で「自由」という意味。まさに、和菓子の既成概念にとらわれない自由な発想から生まれたこのお菓子にぴったりのネーミングですね。

そんなエピソードからもわかるように、八代目はお酒に詳しく、お菓子とお酒を一緒に楽しむ提案にかけても、一過言お持ちの方。この「りぶれ」も、お茶やコーヒーはもちろん、シェリーやウイスキー、ブランデー、果実味の強い赤ワインなどとも相性がいいので、共に味わってみてほしいとのことです。

父の日のプレゼントや、辛党の方に向けて、お好きなお酒と一緒に贈っても素敵ですね。

平岩理緒さん(スイーツジャーナリスト)

スイーツ情報WEB「幸せのケーキ共和国」主宰。スイーツジャーナリストとして全国銘菓に精通し、TV・雑誌等各メディアで発信。「All About」スイーツガイドも務める。イベント企画や司会、企業や自治体のスイーツ開発など幅広く活動。セミナーや製菓系学校での講師も務める。TVチャンピオン「デパ地下グルメ選手権」優勝。著書に『東京最高のパティスリー』(ぴあ)、『まんぷく東京 レアもの絶品スイーツ』(KADOKAWA)等。『厳選スイーツ手帳』・『厳選ショコラ手帖』(世界文化社)を監修。

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監修本『厳選スイーツ手帖』(世界文化社)
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